Light of holy flame

ここからが大事になってくる感じかもです(ぇ


ヘーベルガーデン‐EAST

海に面した、海運の街だ。

その外れ、入り江にダンジョンへの入口がある。

ここへ迷い込むポケモンが後をたたなかった為、探検隊連盟が『立ち入り禁止』の看板を立てたのは大分前の事だ。

それからは地元のポケモンはあまり寄り付かない。

だが、よくここに打ち上げられている貴重な──つまり金目の物を拾うため危険を侵し訪れるスラムのポケモンは少なくない。
そして迷い込み──救助依頼を出すことも出来ずに──ダンジョンの中に消えてしまう。

ニューラは消えたスラムのポケモンを思い返す。自分とはあまり関係のなかったポケモン達だが。

「会ったらぶん殴っておくか」

きゅっ、とバンダナを固く結び。
ニューラはダンジョンの中に飛び込んだ。


【グラン=シーの入り江】

大いなる海の入り江という意味で、特に栄養分が豊富な上空から見ると陸が凹んでいる海の所をそう呼び、色んな海の生物が住家にしていることから、大昔からそう呼ばれている所の、入り江。

水の洞窟のようになっているここは、両生類や甲殻類、軟体ポケモンが豊富にいる。
なので迷い込んだポケモンはすぐ見分けがつく。

――1F

(一階だが、バカが二匹と。ここで迷うとか何やってるんだ?)

――3F

(また一匹。やっぱり雑魚が多いな)

――6F

少し奥に来たので水場だらけに。
魚系のポケモンも増えて来て、遠距離から『みずのはどう』を仕掛けてくるポケモンも増えて来た。

(通路で追い詰められるとヤバイな。脱落者3匹1頭と)

――そして

(10階ほどだな……これでバカどもはたいてい済んだか?)

さらに進んで11Fに行くと、行き止まりだった。

(ここが奥地……。さて、資料はどこだ?)

探そうと奥へ踏み込んだ時。
後ろから十匹ほどのポケモンたちが部屋に入ってきた。
当然出入口を塞ぐように。

「……大歓迎ってわけか。元スラム!」

ニューラは頭を巡らした。
一体一体はそこまで強くないポケモンのはずだ。強ければ危険を冒して入り江に向かい迷い込むこともなかっただろう。

(周囲全体を囲まれると危ない──あそこなら……)

ニューラは壁の隅に向かいながら、バックの中を漁った。

ここは奥地──ふしぎだまは使えない。

「──あった。″しばられのタネ″ッ」

隅に着き、囲んできたポケモン、サンドに向かって投げつけた。
痺れたように動かなくなる

(これで2体っ……)

間髪入れずに、右に周り込んできたマンキーを切り裂く。
一撃では倒せず、ニューラはマンキーのけたぐりを食らった。

「───ッ」

大ダメージを受けたが堪え、次のターンで倒す。

ダンジョンから抜けたマンキーが居なくなった箇所にまたポケモンが踏み込んでくる──

(一度に二匹相手といえ……キツイ)

ニューラはオレンで体力を回復しつつ、ひたすら切り裂いていく。
(あと──3体!)



「……さて」

ボコボコにされた十匹のポケモンたち。

「アンタらのせいで遅れた上、こっちも被害被ったんだ。ぬかりなく探すんだよ!」

はいはい……とやる気の無い返事が返ってくる。

実際残り3匹とはいえ、あの後なかなかてこずったせいで身体のあちこちが痛かった。

時間も残り少ない……
走る体力を残しておくためにも、手分けして探させた。


(最後のやつから盗ったこのするどいツメ……何かの役に立つはずだったが……)

「ねぇちゃん、あったぞ!」

「誰がねぇちゃんだ」

呼ばれた方へと言ってみると、金属製の重々しい箱が。

ピッキング中して鍵を開け、中身を調べる。

「ほう……確かに、これはあっちゃあいけない大事なモノっぽいな」

ニューラはにやりと笑い、それをバックに押し込んだ。


──同時刻。
ルークは……

「すっかり夜だ……遅いな、バカニューラ……」

すでにルークは彼女の仕事を終え、路上に止めたバイクの上、しっぽをぶらぶらさせている。

アイドリングしたままのバイクは小刻みに低い音を立て続ける。

そんな彼を近くのビルの屋上から見つめるポケモンが数匹。
抑えた声音で話している。

──あいつがゴミに味方する弁護士か。やり手と聞いたが……

──とっととやっちまおうぜ。

──ああ。おれたちには『大義名分』もあることだしな。

──明日には政治犯『ルーク』を捕まえたセイギのミカタだ。探検隊としてのハクもつくだろう。


そして彼らは音もなく、その場所から跳び降りた。