3ー5 Exploring party
ダンジョンが中心の、珍しい回です(何
そして…――
今回の授業は野外に連れて来られた。
「さて、キミたちのようなお尋ね者たちに一般のポケモンたちは恐怖におののくのと同時に、こう思う」
眼鏡をかけたフーディンはゆっくりと横にいったり来たり歩きつつ言う。
「『ああ、その才を良いことに活かせば良いのに』と」
(まあ本当はそれが良いんだろうが……)
さらに続ける。
「そこで、今回はそんな要望に応えて貰うべく、ブルーカラー(肉体労働者)の応用編だ」
「なあ、ブルーカラーって何だ?」
「ようはもっと複雑で危険な作業をしてもらう。なあに、不思議なダンジョンへ行き、迷子役Aを連れて来てもらう、それだけの話だ」
(――…!それって……!)
「……ハンター」
「……へ?」
「……お?」
「たまげたね、初めて喋った」
ヨーギラスが初めて喋った。しかもただ一言。
「気付いた者もいるだろうが、狩られる側から狩る側へ……。探検隊の体験学習だ」
フーディンは続けた。
「同室のもの同士……4匹か3匹でチームを組むことになる。一匹は『迷子役』だ。私達が所定の階へ連れていく。ダンジョンに突入する際は二匹か三匹だ。まずは迷子役を決めてくれ」
ニューラは見かけ倒しな(気がする)ドラピオンやアーボックを流し目で眺める。
「ダンジョンか……初めてだな……」
眺められていることにアーボックは気づかない。
「とりあえず、迷子を役誰にするか決めようぜ? おい、零番もこっち来いよ」
「じゃんけんか?……ってオレ腕ないか……くじで」
アーボックは言いながらぷちっとそこらへんの草を千切った。
「一番短い奴が『迷子』で。オレは引くの最後でいいから……ねぇちゃん先に引くか?」
「いい加減その呼び方ヤメロ」
ニューラは一本抜く。
続いてドラピオン、ヨーギラス。
最後にアーボック。
「じゃ、せーのっ」
…………。
「オレが一番短いな……」
ドラピオンだった。
「そうか……じゃ、オレがいない間、アーボックを頼むぜ!」
「え、ちょっ──オレそんなに頼りねぇのか?!」
「「ああ」」
「うおっ! ハモった!?」
「……」
ダンジョンは近場にあるキノコの森。名前の通り大小様々なキノコがダンジョンを占める変わったダンジョンだ。
先に迷子役のポケモンたちが連れられて行く。
「ちゃんと助けてくれよ〜!」
「分かってるよー!」
迷子役がダンジョンに消えると、フーディン――不思議なダンジョン担当は再び話す。
「それでは、時間は待ってくれない事ですし、早速始めましょう。」
監獄員からそれぞれ支給用のバッチとバックを受け取る。
支給用とは言え本物とほとんど変わらないが。
「それではグループごとに固まって……突入!」
号令でそれぞれの
グループ事に固まって突入していく。
「よし、行くよアンタら!」
「仕切るねぇ〜、ねぇちゃん!」
「………」
ニューラを先頭にダンジョンに突入した。
ダンジョンにはカラフルな……毒キノコとしか思えない原色そのままのシマシマや水玉のキノコがところどころに生えている。
「目に毒だなぁ……」
「敵がいるのに悠長に話すな!」
分かりやすく、キノココやキノココやキノココやキノガッサやパラスやパラスやパラスやパラスやパラセクトばかりいる。
ちなみに一番の問題が。
「″かみつく″!」
「…………Σ動けねぇ!」
すぐ彼らの特性″ほうし″で状態異常にされる。物理技しか持ってないニューラには死活問題だ。
ただでさえ、″きのこのほうし″で眠らせに来る奴らだというのに。
(草はとにかく、虫に格闘……鉄のトゲやゴローンの石でも拾えれば……)
「…………」
相変わらずヨーギラスは無言。
先程口を開いたのが嘘のようだ。
素早く的確に、近い場所に居たキノガッサに攻撃。
「アーボックと違って頼りになるねぇ……」
「ちょっ、酷ぇ!!!」
「……」
そして、4F。
まだ真ん中位だが。
「いらっしゃいませ〜」
「このダンジョンにもあるのか……」
目の前にはカクレオン。
広げた絨毯の上で、手をすりすりさせている。
「──これいくら?」
「800ポケになります」
売っても幾らもしない道具の破格の高値にアーボックは暫くポカーンとした。
「……ぼったくりだ!」
カクレオンは鼻で笑った、
「嫌なら買わなくて結構ですよ。あなたたちには敷居が高すぎたようですねぇ」
ブチブチッとアーボックの血管は千切れに千切れ───
ニューラの跳び蹴り!!
アーボックは倒れる。
「った! 何す……」
「………学習…」
「二度目!?」
ヨーギラスの呟きにアーボックは何を言おうとしていたか忘れた…………
結局カクレオンの店では拾ったポケでおおきなリンゴ(50P)を購入するにとどまった。
「あーあ、ぼったくり以外の何者でもないよ」
「だけど、ここでは食料は貴重だよ」
どこもかしこもキノコというだけあって、リンゴやグミなどの゛らしい゛食料がまったく落ちてない。なかなかの難関ダンジョンだ。
さらに進み、(主にヨーギラスが)敵を倒して道を開き、ニューラたちが追撃をかけつつ階段を探す。
「さて……そろそろらしいね」
キノコが足元も完全に覆い尽くし、全てキノコ感がいっそう強まった7F。
「これ食えるのか〜?」
「毒同士仲良くやってなよ」
「……やめとくわ。はぁ〜、早く◆$%¥&#……」
「………!」
アーボックが途中何言ってるかさっぱりだったが、ニューラは放っておいて先に進んだ。
…――最深部。
「なんだ、結局一番奥に来ちゃったじゃないか」
「ドラピオーン!」
アーボックが叫び呼び掛ける。
「――…ここだー!!」
遠くから声が聞こえる。
「よし、依頼達成……―」
「……危険」
「んなっ?」
キノコの影にポケモンの影。
「出てきなよ!」