3-11 Mind of connected /Mind of betrayal

葛藤。

……の夜中。また昨日と同じように、二匹は寝てヨーギラスはいない。

ちなみに大量の野菜が部屋に届けられてたせいで部屋が狭い。

(コレどうやって食うんだ……?)

そんな事を思いつつ部屋の外へと抜け出す。

(さて、ペナルティか……。多分アイツが知ってるだろうな……)

情報屋の元へと直行する。
――…と。

「いや、今日はこっちにこい」

指定の場所からは違う所から声が聞こえる。
それに従って歩いて行き……

――全然違う場所へついた。

「仕事柄場所を変えなきゃやってられなくてね……。
 さて、買うか?」

恐らく向こうは今度知りたい情報も持ってるのだろう。
ニューラは頷く。

「1500IPだが……どうやら余裕そうだな。たまには授業の方へも出ろよ」

サッ っと何かが腕に触れると、すでにポイントの贈与(実際は購入なのだが購買の所で買うわけでは無いからだろう)が行われていた。

「それじゃあ情報だ。ペナルティは没収だ。
 まあ少し考えればわかるが、借金のカタに高級品から取られるわけだ。
 アイツはほとんど購入歴がないから没収されるとしたら部屋に済む権利だな。おまえらに影響は無いが、その権利の剥奪とその分のポイント還元……まあ借金差っ引いたら消えるかもしれないが……それが明日の朝礼で堂々と行われる可能性があるな。まあ公開処刑だ」

(通路暮らしか……?まるでスラムだな……)

「今からじゃあポイントを贈与しても無駄だから止める事は出来ないが、素早く部屋に復帰させたいなら上手くお得意の声色と、アイツに働かせるように説得することが大事だな。お前がポイントを贈与してもあまり良いようには周りから見られないからな。まあ実験的に面白くないしな」
気配が消える。話は終わりということか。

最初に言われた通り授業に出るには労働を代わりにやってくれる契約者が必要だが……
この夜にはどうやらいないようだ。それにまだ坑道奥の不思議なダンジョンの正確な位置も分からない……

やることもなくなり、早く眠る事にした。


──夜が少しだけ白んだ頃。

ヨーギラスがやっと部屋に戻って来た。

「おかえり」

「…………」

ヨーギラスは意外そうな顔をして──そして頷いた。

「ちょっと話──いや、頼みたいことがあるんだけど……」


──そして昼。
ニューラは教室に居た。

大して興味のない授業だが、全く出なければは出ないで監獄員からは不審な目で見られるだろう。

「──のことは……であるからして……」

とりあえず″模倣囚″としてのポイントも欲しいので興味津々な顔をして聞いた。

終了時間になり、出ようとした時───

「ニューラくん」

ニューラは″先生″のジーランスに呼び止められた。

「なんでしょう?」

「君はとてもいい表情で授業を受けていたの──内緒じゃよ? これはほんの気持ちだからの」

ニューラのバッドネスマーカーにジーランスは触れる。300ポイントがニューラに渡された。

「いいんですか?」

「いいんじゃ。わしたちは、没収した分のポイントなら好きに譲渡できるんでのぉ」

ジーランスはバッドネスマーカーに似た″マーカー″のついている手帳を取り出した。

「授業を真面目に受けておらん輩から内緒に引いておるんじゃよ」

「内緒に、ですか?」

普通の減点はその場で行われるので内緒にはできない筈だが。

「なぁに、メモしておいてカイリキーさんに報告すればいいんじゃ。ここで食事や道具を買ったり、鉱石をポイントに換える際に引かれるんじゃよ。引いた分はこの手帳に移されて──わしらが自由に譲渡できる」

(なるほどね……。上手く立ち回ればここでもポイントが稼げるわけか……)

とびきりの笑顔で感謝の言葉を述べて、ニューラは教室から去った。

(ということは、これはアーボックのポイントも含まれてるのかもな)

ニューラはそんな冗談を思い浮かべつつ、少し休憩しようと購買所の近くへ向かうとアーボックドラピオンが。

「……―あれーっ、やっぱりおかしいな」

「何が?」

「思ってるよりポイントが減ってる気がするんだよ」

「またー、どうせ引き算ミスしてるだけだろ?」

「前も全然分からなかった所を……。痛いとこ突くなあ……―」

そんなこと話しつつどこかへ歩いて行った。

(…………あはは)


一通り今日の作業が終わると、大量の野菜がある部屋に戻る。

(これ……このままだと腐るだけだよな……―――そうだ!)


「え?ぼくが?」

「実はこういうのの料理はしたことなくって……」

「うん、良いよ!ぼくもあの野菜食べたいし!」

頼んだ先はもちろんタツベイまんぷく



―――しばらくして。

「ね、ねぇちゃん、コレどうするのさ……?」

「いや、こんなに作るとは思ってなくてさ……」

それは部屋中に広げられた料理の数々。
ちなみに猫舌ポケモンも考慮してか熱いものと冷めたいもの両方用意されている。

「……そうだ!」

アーボックが閃く。

「全員で食おう!」

「全員ったってただの4、5匹……」

「じゃなくて、捕まってるやつら全員でさあ!」